・特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会の亀崎直樹会長との連名で、カミツキガメ、ミシシッピアカミミガメ、オオクチバス、ブルーギル、コクチバスが特定外来生物に指定されることを支持する声明を提出しました。

提出先:環境省自然環境局野生生物課
提出日:2005年2月19日

カミツキガメ、ミシシッピアカミミガメ、オオクチバス、ブルーギル、コクチバスを特定外来種に指定することに指示をする声明

特定非営利活動法人カメネットワークジャパン設立準備委員会 代表理事 小菅康弘
特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会 会長 亀崎直樹

 日本人は古くから、水田に囲まれた生活を送り、その中で子供の頃より、田んぼ、小川や池などといった水辺で多くの小魚、昆虫、カエルやカメなどを捕まえては飼って、遊んだりと生きものと親しんできた。しかし、今ではそういった場所や生きものが少なくなり、タナゴ、メダカ、ゲンゴロウやカメなどが貴重になった。一方、外国由来の生きものが野外においても繁殖し、私たちが目にするまでに増えた。その1つが、全国の内水面を制覇してしまったオオクチバスである。また、カミツキガメやミシシッピアカミミガメにおいても流通ルートにより広がり、飼いきれなくなったという理由で野外へ破棄し、近年野外で発見されることが増えてきた。

 オオクチバスは、あの大きな口で様々な水生生物を捕食することが可能で、日本の水生生物へ影響が危惧されている。事実、その胃内容物からコイの稚魚などの淡水魚、ヤゴやゲンゴロウなどの水生昆虫などが発見されて、日本の水生生物が減少する一因であることは明らかとされた。オオクチバスと同じく食性の広いブルーギル、コクチバスにおいても環境が著しく変化していくなかで、このまま野放しにすると多くの日本の水生生物が姿を消すことになる。また同時に、オオクチバス等のルアー釣りは、子供たちにとっては道具を揃えなければならないことから敷居は高く水辺で生きものと遊ぶ子どもたちも絶滅してしまう。

 カミツキガメについても、食性は広く、魚、カニ、エビ、カエル、鳥と植物なども捕食する。原産地のアメリカでは甲長49cm、体重34kgという記録があり、日本の水辺には類を見ない大きさの生物であることから、日本の水辺の生きものが大量に捕食されてしまうことが予測される。ミシシッピアカミミガメについては、北海道から沖縄まで広がり、野外で見られる最もポピュラーなカメとなってしまった。こちらも食性は広く、魚やカエルなどの動物質は生体にかぎらず死骸までも食べるほか、水草や陸生植物の葉、花、果実なども食べ、日本のカメより大きくなり最大で甲長28cmに達することから、餌となる生きものに与えている影響が大きいことが予測される。日本のカメの現状として、固有種のイシガメが危機的状況にあるのは、産卵するための土地や越冬するための池や護岸のされていない河川が減少していることが一因とされているが、一方では、カミツキガメやミシシッピアカミミガメが急速にその勢力を伸ばし、餌となる生物を奪い、これらが原因で減少しているとする指摘もある。大食漢の外来カメは、日本のカメにとっても、他のあらゆる水生生物にとっても脅威である。また、特にカミツキガメに野外で遭遇した際には、強靭な顎に注意しなければならず、子どもたちから水辺を遠ざけてしまう事態にもなりうる。

 日本人が古くから親しみ、また時には資源として利用してきた日本の水辺の生きものを守ることは、日本人しかできないすばらしいことである。是非、多くの方々に賛同をしていただいて、日本の生きもの、水辺で生きものと遊ぶ子どもたちの姿を後世にも維持していきたい。

 ミシシッピアカミミガメについては、その流通量が莫大なことと飼育者の多くが子どもであることから、飼育を放棄して大量に野外へ放されてしまうことを恐れて、現時点では特に注意を要する生物とされることになるが、国際自然保護連合においても世界の侵略的外来種ワースト100にも選定されていることから、近い将来に特定外来種に指定されることを支持する。

 以上の理由により、現時点で私たちは、オオクチバス、ブルーギル、コクチバス、カミツキガメが特定外来種に指定されることを支持する。

2005年2月19日