“なぜ、日本のカメの一斉調査が必要なのか。”
日本固有種のニホンイシガメが繁殖するには冬眠するための河川や池と産卵する土地の両方が必要であることがわかってきた。しかし、近年、河川や池などの護岸化により、垂直の高い壁はカメがよじ登ることができす、カメが上陸することが困難になってきてしまった。また、護岸されていない岸より上陸できた場合においても、宅地や道路のための造成によってコンクリートやアスファルトに固められて、産卵できる土地が確実に少なくなっているのが現状である。
カメが護岸によって失うのは、何も陸へのアプローチだけではない。越冬場所も失っている。カメが越冬するのは、ヘビやトカゲと違って水中である。河川や池などの岸がえぐれた横穴や落ち葉などが堆積する流れのゆるい淵で越冬します。護岸されてしまった河川や池では越冬することも厳しい現状である。
“もはや「カメがいる=(イコール)カメが繁殖している」では、なくなってしまった。”
一方、外来種であるミシシッピアカミミガメやカミツキガメが飼いきれなくなったという理由で野外へ捨てられ、近年、野外で発見されることが増えてきてしまった。
“本来、日本のカメがいたと考えれる都市近郊の河川や池では、外来ガメにとって変わってしまった。”
事例として、日本自然保護協会が行った「NACS-J自然しらべ2003~日本全国カメさがし」で、全国で見つかったカメ5966個体のうち6割以上の3708個体(全総数の62.15%)が外来種のミシシッピアカミミガメであった結果が公表されている。ちなみに、クサガメは1257個体(21.07%)、イシガメは590個体(9.89%)、スッポンは135個体(2.26%)、ミナミイシガメ2個体(0.03%)、ヤエヤマセマルハコガメ22個体(0.37%)、ヤエヤマイシガメ21個体(0.35%)リュウキュウヤマガメ1個体(0.02%)であった。
ミシシッピアカミミガメは、北海道から沖縄まで広がり、野外で見られる最もポピュラーなカメとなってしまった。こちらも食性は広く、魚やカエルなどの動物質は生体にかぎらず死骸までも食べるほか、水草や陸生植物の葉、花、果実なども食べ、日本のカメより大きくなり最大で甲長28 cmに達することから、餌となる生きものに与えている影響が大きいことが予測される。
カミツキガメは食性は広く、魚、カニ、エビ、カエル、鳥と植物なども捕食する。原産地のアメリカでは甲長49cm、体重34kgという記録があり、日本の水辺には類を見ない大きさの生物であることから、日本の水辺の生きものが大量に捕食されてしまうことが予測される。
“大食漢の外来カメは、日本のカメにとっても、また日本のあらゆる水生生物にとって脅威である。”
これらの予測される影響から、外来種のカメが急速にその勢力を伸ばし、餌となる生物を奪い、これらが原因で、日本のカメが減少しているとする指摘もある。
もう1つの問題として、国内移入種の問題がある。
先ほど、“もはや「カメがいる=(イコール)カメが繁殖している」では、なくなってしまった。”と述べたが、このなかには、放されたカメがただ単体で存在していることも含まれる。
“飼いきれなくなったという理由で野外へ捨てられるカメは外来種だけではない。”
本来いなかったカメは、外来種のカメ同様に、そこに棲む生物に影響を与えてしまう。捨てられたところが閉鎖された池ではなく、河川であった場合、その水系に元々棲むカメと出会い同種別種にかかわらず交尾をし、交雑個体が生まれてしまう恐れがある。淡水性カメ類の雑種個体には、繁殖の能力があると指摘されており、交雑個体が一度できしまうと、その種や集団が長い時間をかけて、そこの生息環境に適用してきた特性が失われてしまことから懸念されている。
“捨てられたカメは、元々棲むカメと交尾して交雑個体が生まれてしまう。”
外見上クサガメとイシガメの雑種と判断される個体は古くからその存在が知られ、野外から発見された報告が度々なされている。また、近年では、セマルハコガメとリュウキュウヤマガメとの雑種、クサガメとミナミイシガメとの雑種が野外から発見された報告もなされている。
“交雑個体によって、純系な日本のカメが失われつつある”
これらの現状から判断すると
“日本のカメに絶滅の危機に瀕している。”
以上の理由から、「日本のカメの一斉調査」が必要である
調査は、‘カメがいる’から始まって、
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